従業員との労務トラブルが解決しない場合、労働審判や訴訟などの法的手続に発展することがあります。
労働審判や訴訟では、単に「会社としては正しい」と主張するだけではなく、これまでの経緯や会社側の判断の根拠を整理し、それを裏付ける証拠を適切に提出することが重要です。
特に、解雇、残業代、退職、ハラスメント、配置転換、降格、賃金、定年後再雇用など、問題となる労務事項によって必要となる証拠や法的な検討事項は異なります。
シエル総合法律事務所では、企業・使用者側の立場から、労働審判・訴訟に至る前の交渉から、労働審判、訴訟まで一貫して対応しています。
労働審判とは
労働審判は、労働者と会社との間の労働関係に関する紛争について、裁判所で迅速かつ適正な解決を図るための手続です。
裁判官である労働審判官1名と、労働関係に関する専門的な知識・経験を有する労働審判員2名で構成される労働審判委員会が審理を行います。
原則として3回以内の期日で審理が行われるため、会社側としても、早い段階から事実関係や証拠を整理して対応する必要があります。
労働審判を申し立てられた場合
会社が労働審判を申し立てられた場合には、まず申立書の内容を確認し、従業員が何を請求しているのかを正確に把握する必要があります。
その上で、
・従業員の主張する事実に誤りがないか
・会社側の認識と異なる部分はどこか
・請求の法的根拠は何か
・会社側にどのような反論ができるか
・会社側の主張を裏付ける証拠があるか
・解決のためにどのような選択肢があるか
などを整理します。
労働審判では第1回期日までの準備が重要になるため、申立書を受け取った段階で早めに対応を開始することが重要です。
労働審判で重要となる「事実関係の整理」
労務紛争では、会社側と従業員側で事実関係について認識が異なることが少なくありません。
例えば、
「会社は事前に説明したと認識している」
「従業員は説明を受けていないと主張している」
というように、双方の認識が大きく異なるケースがあります。
このような場合には、当事者の記憶だけに頼るのではなく、
・雇用契約書
・就業規則
・社内規程
・メール
・チャット
・業務上の記録
・勤怠記録
・給与資料
・人事評価資料
・面談記録
・録音データ
などを確認し、いつ、誰が、何をしたのかを時系列で整理することが重要です。
労務紛争では「証拠」が重要です
労働審判や訴訟では、会社側の主張を裏付ける証拠が重要になります。
例えば解雇が問題となる場合には、解雇理由そのものだけでなく、解雇に至るまでの注意・指導、改善の機会を与えたか、過去の勤務状況などが問題となることがあります。
残業代が問題となる場合には、タイムカード、勤怠記録、給与台帳、就業規則、固定残業代に関する資料などが重要になります。
そのため、紛争が発生してから資料を探すのではなく、日頃から重要な記録を適切に保存しておくことが、労務トラブルへの対応において重要です。
会社側の反論をどのように構成するか
労働審判・訴訟では、従業員側の主張を否定するだけではなく、会社側の判断がなぜ行われたのかを具体的に説明する必要があります。
例えば、配置転換が問題となっている場合には、
・配置転換を行った理由
・会社としての業務上の必要性
・対象者を選定した理由
・配置転換による従業員への影響
・就業規則や雇用契約上の根拠
などを整理します。
解雇であれば解雇理由、残業代であれば労働時間や賃金計算、懲戒処分であれば問題となった行為と処分の根拠など、問題となっている事項に応じて主張・立証を組み立てる必要があります。
労働審判では「解決方法」も重要です
労働審判では、最終的に一定の金銭を支払うことなどを条件として、調停による解決が図られることもあります。
会社側としても、単に請求を認めるか否かだけではなく、
・会社側の法的リスク
・証拠の内容
・今後の事業への影響
・従業員との関係
・解決までに必要となる時間や費用
などを踏まえて、どのような解決を目指すのかを検討する必要があります。
そのため、訴訟を継続する場合だけでなく、早期の段階での解決を含めて、複数の選択肢を検討することが重要です。
労働審判から訴訟に移行する場合
労働審判に対して異議の申立てがなされた場合、一定の場合には訴訟手続に移行します。
訴訟では、労働審判よりも長期間にわたって主張・立証を行うことになる場合があります。
そのため、労働審判の段階から、訴訟に移行する可能性も踏まえて、証拠や主張を整理しておくことが重要です。
労働審判・訴訟になる前の対応も重要です
労働審判や訴訟を申し立てられてから弁護士に相談するのではなく、従業員との間で紛争が発生した段階で相談することにも意味があります。
例えば、
・従業員から内容証明郵便が届いた
・退職した従業員から残業代を請求された
・解雇した従業員から解雇無効を主張された
・退職勧奨について問題があると主張された
・ハラスメントについて会社の対応を求められた
・配置転換や賃金変更について異議を申し立てられた
といった段階であれば、裁判手続に至る前に交渉による解決を検討できる場合があります。
紛争が大きくなる前に、会社側の法的な立場とリスクを整理しておくことが重要です。
シエル総合法律事務所の対応
シエル総合法律事務所では、企業・使用者側の立場から、労務トラブルについて交渉から労働審判・訴訟まで対応しています。
会社側の事実関係を整理
会社側から事情を丁寧に聴取し、紛争に至った経緯や当事者の認識を時系列で整理します。
必要な証拠を確認
就業規則、雇用契約書、勤怠記録、メール、社内資料、面談記録、録音等を確認し、会社側の主張を裏付ける証拠を整理します。
法的な争点を整理
問題となっている労務事項について、会社側の主張・反論の根拠となる法律や裁判例を踏まえて、争点を整理します。
労働審判・訴訟への対応
答弁書、準備書面等の作成、証拠の提出、期日への対応など、法的手続を進めます。
交渉による解決も検討
法的手続を進めることだけを前提とせず、会社側の状況や紛争の内容を踏まえて、交渉による解決を含めた対応を検討します。
労働審判・訴訟についてご相談ください
従業員との労務トラブルが法的手続に発展した場合には、できるだけ早い段階で会社側の事実関係と証拠を整理することが重要です。
「従業員から労働審判を申し立てられた」
「裁判所から書類が届いた」
「従業員から内容証明が届いた」
「残業代や解雇について請求を受けている」
「労働審判になる前に解決できないか相談したい」
といった場合には、弁護士への相談をご検討ください。
シエル総合法律事務所では、企業・使用者側の立場から、個別の労務トラブルについて、紛争発生前の相談から交渉、労働審判、訴訟まで対応しています。

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