定年後の継続雇用制度は、多くの企業にとって重要な人事・労務制度の一つです。
一方で、定年後に再雇用する従業員については、賃金や職務内容、勤務時間、役職、配置などをどのように設定するかが問題となることがあります。
また、再雇用後の労働条件について従業員との合意が成立しない場合や、再雇用契約の更新をめぐって争いが生じる場合もあります。
シエル総合法律事務所では、企業・使用者側の立場から、定年後再雇用制度の設計、再雇用後の労働条件の設定、賃金制度の見直し、雇止め等をめぐる問題について、事前の法的検討から紛争対応まで幅広く対応しています。
定年後再雇用で問題となる事項
定年後再雇用では、定年前と同じ条件で雇用を継続するのか、それとも職務内容や労働条件を変更するのかによって、検討すべき事項が異なります。
例えば、次のような問題があります。
- 継続雇用制度の設計
- 再雇用後の賃金・賞与・各種手当
- 職務内容や責任の変更
- 役職の変更や降格
- 勤務時間・勤務日数の変更
- 配置転換や勤務地の変更
- 有期労働契約の更新
- 再雇用後の雇止め
- 同一労働同一賃金
- 再雇用条件に合意できない場合の対応
これらの問題は相互に関係することも多いため、個々の労働条件だけでなく、制度全体を踏まえて検討することが重要です。
継続雇用制度の整備
企業には、高年齢者雇用安定法に基づき、高年齢者の雇用確保に関する措置が求められています。
定年を設けている企業では、定年年齢や継続雇用制度の内容について、法令に適合した制度を整備する必要があります。
また、制度を設けるだけでなく、実際の運用が就業規則や社内規程と整合しているかを確認することも重要です。
定年後再雇用に関する制度の整備や見直しを行う場合には、就業規則、再雇用規程、賃金規程、雇用契約書等を確認し、法的な問題がないかを検討する必要があります。
再雇用後の賃金・労働条件
定年後に再雇用する際には、定年前と比較して賃金や労働条件を変更することがあります。
例えば、
- 基本給の変更
- 賞与の取扱い
- 役職手当等の変更
- 勤務時間・勤務日数の変更
- 職務内容や責任の変更
- 配置や勤務地の変更
などが考えられます。
ただし、定年後再雇用であることだけを理由に、どのような労働条件の変更でも自由に行えるわけではありません。
変更の根拠、再雇用後の職務内容、責任の程度、労働時間、その他の事情を踏まえて、適切に制度を設計する必要があります。
再雇用後の賃金減額
定年後再雇用においては、定年前と比較して賃金を減額するケースがあります。
このような場合には、賃金減額の根拠や再雇用後の労働条件について確認する必要があります。
例えば、定年前と同じ業務を担当し、同様の責任を負っているにもかかわらず、賃金だけが大幅に減額されている場合には、その合理性が問題となることがあります。
一方で、職務内容、責任の程度、勤務時間、配置、役職などが変更される場合には、それらの事情も踏まえて検討する必要があります。
再雇用後の賃金制度を設計する際には、基本給だけでなく、賞与や各種手当を含めて総合的に検討することが重要です。
同一労働同一賃金
定年後再雇用された従業員についても、パートタイム・有期雇用労働法等に基づく不合理な待遇差の禁止が問題となることがあります。
定年前の従業員と定年後再雇用された従業員との間で、基本給、賞与、各種手当、福利厚生等に差を設ける場合には、それぞれの待遇の性質や目的、職務内容、責任の程度、配置の変更範囲などを踏まえて検討する必要があります。
「定年後再雇用だから賃金が低くても問題ない」と一律に判断するのではなく、個々の待遇について、差を設ける理由を説明できる制度になっているかを確認することが重要です。
職務内容・役職・配置の変更
定年後再雇用では、管理職から一般職への変更、担当業務の変更、勤務場所の変更などが行われることがあります。
このような変更を行う場合には、会社の人事権の範囲や就業規則、雇用契約の内容などを確認する必要があります。
また、職務内容や役職の変更に伴って賃金が減額される場合には、職務・役職の変更自体の適法性だけでなく、賃金変更の根拠についても検討する必要があります。
再雇用後の業務内容や役割を明確にし、それに応じた労働条件を設定することが重要です。
再雇用条件について合意できない場合
定年後再雇用に際して、会社が提示した賃金や労働条件について、従業員が合意しない場合があります。
このような場合には、会社として提示した条件の内容や根拠を整理するとともに、継続雇用制度や就業規則の定め、これまでの運用などを確認する必要があります。
再雇用後の労働条件について合意が成立しない場合に、どのような対応が可能かは、制度の内容や具体的な経緯によって異なります。
そのため、条件の提示や交渉を行う前に、会社側の法的な立場を整理しておくことが重要です。
再雇用契約の更新・雇止め
定年後再雇用では、有期労働契約を締結し、一定期間ごとに契約を更新する形態が採用されることがあります。
この場合、契約期間の満了時に更新しないことができるかどうかが問題となる場合があります。
雇止めの有効性については、契約更新の状況、更新に対する合理的な期待の有無、会社が更新しない理由など、具体的な事情を踏まえて検討する必要があります。
定年後再雇用であることや、有期契約であることだけを理由に、常に自由に雇止めができるわけではありません。
契約更新を行わないことを検討している場合には、事前に契約内容や更新状況を確認しておくことが重要です。
定年後再雇用をめぐる紛争
定年後再雇用については、次のような問題が紛争になることがあります。
- 再雇用後の賃金減額が不合理であるとの主張
- 各種手当や賞与の支給をめぐる争い
- 配置転換や役職変更の有効性
- 再雇用条件に関する合意の有無
- 契約更新や雇止めの有効性
- 休職・復職や健康状態をめぐる問題
このような紛争に発展した場合には、制度の内容だけでなく、個別の労働条件、契約締結・更新時の説明、実際の職務内容、賃金の決定経緯などが問題となります。
会社側としては、制度設計の段階から、労働条件の設定根拠や従業員への説明内容を整理しておくことが重要です。
定年後再雇用で確認しておきたい資料
定年後再雇用制度を設計・運用する際には、次のような資料を確認することが考えられます。
- 就業規則
- 定年後再雇用規程
- 賃金規程
- 雇用契約書・労働条件通知書
- 再雇用後の職務内容・責任に関する資料
- 賃金・賞与・各種手当の支給基準
- 人事評価資料
- 契約更新に関する資料
- 従業員への説明資料
- 過去の再雇用事例
これらを確認することで、制度と実際の運用に食い違いがないか、労働条件の設定に問題がないかを検討しやすくなります。
シエル総合法律事務所の対応
シエル総合法律事務所では、企業・使用者側の立場から、定年後再雇用に関する問題に対応しています。
継続雇用制度の整備・見直し
就業規則、再雇用規程、賃金規程等を確認し、法令や実際の運用に照らして制度を見直します。
再雇用後の賃金・労働条件の検討
基本給、賞与、各種手当、職務内容、勤務時間などを確認し、労働条件の設定や変更について法的な観点から検討します。
同一労働同一賃金への対応
待遇差の内容や理由を整理し、制度設計や説明資料の見直しなどについて助言します。
契約更新・雇止めへの対応
契約内容や更新状況、雇止めの理由等を確認し、会社としてどのような対応が可能かを検討します。
労働審判・訴訟への対応
賃金や労働条件、雇止め等をめぐって紛争が生じた場合には、会社側の立場から交渉、労働審判・訴訟等に対応します。
関連する労務問題
定年後再雇用について弁護士に相談する
「定年後再雇用の制度を整備したい」
「再雇用後の賃金を見直したい」
「定年前と再雇用後で職務内容が異なる」
「基本給や各種手当の待遇差について確認したい」
「再雇用条件について従業員と合意できない」
「再雇用契約を更新しないことを検討している」
「定年後再雇用をめぐって従業員から請求を受けた」
このような場合には、制度の設計・見直し段階から弁護士にご相談ください。
シエル総合法律事務所では、企業・使用者側の立場から、定年後再雇用に関する制度設計、労働条件の検討、従業員との交渉、労働審判・訴訟まで対応します。

