職場におけるハラスメントは、従業員同士の個人的な問題ではなく、企業として適切に対応する必要がある重要な労務問題です。
ハラスメントの相談を受けた場合、会社として放置することは適切ではありません。一方で、相談者の申告内容をそのまま事実として扱い、十分な調査を行わないまま相手方に処分を行うことも、別の紛争につながる可能性があります。
会社には、相談を受けた後、関係者から事情を聴取し、必要な資料を確認するなどして事実関係を適切に調査し、その結果を踏まえて必要な対応を検討することが求められます。
シエル総合法律事務所では、企業・使用者側の立場から、ハラスメント相談への初期対応、事実調査、懲戒処分、被害者・行為者への対応、再発防止策、紛争対応まで幅広く対応しています。
企業が対応すべきハラスメント
職場で問題となるハラスメントには、様々なものがあります。
パワーハラスメント
職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景として、業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動によって、就業環境を害する行為が問題となります。
例えば、暴言や人格を否定するような発言、必要以上に厳しい叱責、過大な要求、仕事を与えない行為などが問題となることがあります。
ただし、業務上の指導や注意であればすべてパワーハラスメントになるわけではありません。
具体的な言動、その目的、経緯、頻度、態様、当事者間の関係などを踏まえて判断する必要があります。
セクシュアルハラスメント
性的な言動によって従業員の就業環境が害されるなど、セクシュアルハラスメントに関する問題が発生することがあります。
当事者双方の認識が異なる場合もあるため、具体的な発言や行為、発生した状況、前後の経緯などを確認した上で対応することが重要です。
妊娠・出産、育児・介護休業等に関するハラスメント
妊娠、出産、育児休業、介護休業等の取得をめぐって、上司や同僚から不適切な言動が行われるケースがあります。
このような問題についても、会社として相談窓口を設け、相談を受けた場合には適切に対応することが重要です。
ハラスメントの相談を受けた場合
従業員からハラスメントの相談を受けた場合には、初期対応が重要です。
まず、相談者から、
- いつ
- どこで
- 誰から
- どのような言動を受けたのか
- どの程度の頻度で発生したのか
- 誰がその場にいたのか
- その後どのような影響があったのか
などについて具体的に確認します。
メールやチャット、録音、写真、業務記録などの客観的な資料が存在する場合には、それらについても確認します。
また、相談を受けたこと自体を関係者に不用意に広めないなど、情報管理にも配慮する必要があります。
ハラスメントの事実調査
ハラスメントについて申告があった場合、会社として事実関係を調査する必要があります。
調査では、相談者だけでなく、申告された行為を行ったとされる従業員や、必要に応じて関係する第三者からも事情を聴取します。
また、
- メール
- チャット
- 録音
- 防犯カメラ映像
- 勤怠記録
- 業務上の資料
- 人事評価資料
- 過去の相談記録
など、客観的な資料を確認することも重要です。
当事者の言い分が食い違っている場合には、単純にどちらか一方の説明を採用するのではなく、周辺事情や客観的資料を含めて事実関係を整理する必要があります。
ハラスメントの事実認定
調査を行った後は、確認された事実について法的な評価を行います。
例えば、上司による厳しい指導が問題となっている場合でも、その発言だけを切り取って判断するのではなく、どのような業務上の問題があり、どのような目的で、どのような状況で発言されたのかを確認する必要があります。
反対に、「業務上の指導だった」という理由だけで、問題となる言動が当然に正当化されるわけでもありません。
具体的な事実を整理した上で、ハラスメントに該当するかどうかを検討することが重要です。
ハラスメントが認められた場合の対応
調査の結果、ハラスメントに該当する事実が認められた場合には、会社として必要な対応を検討します。
例えば、
- 行為者への注意・指導
- 配置転換
- 被害を受けた従業員への配慮
- 懲戒処分
- 上司・管理職への指導
- 職場環境の改善
- 再発防止策の実施
などが考えられます。
どのような措置を取るべきかは、行為の内容、程度、頻度、被害の程度、行為者の立場、過去の指導状況などを踏まえて判断する必要があります。
ハラスメントを理由とする懲戒処分
ハラスメントが認められた場合、就業規則の規定に基づいて懲戒処分を検討することがあります。
ただし、ハラスメントがあったというだけで、どのような処分でも自由に行えるわけではありません。
就業規則上の懲戒事由に該当するか、処分の内容が相当か、過去の類似事例との均衡が取れているかなどを確認する必要があります。
特に懲戒解雇などの重い処分を検討する場合には、事前に事実関係と法的な問題を十分に確認することが重要です。
ハラスメントを受けた従業員への対応
ハラスメントが認められた場合には、行為者への対応だけでなく、被害を受けた従業員への対応も重要です。
例えば、必要に応じて当事者間の接触を避けるための配置上の措置を検討したり、職場環境を改善したりすることがあります。
ただし、被害を受けた従業員を一方的に異動させるなど、対応方法によっては新たな問題が生じる可能性もあります。
当事者双方の状況を踏まえて、適切な対応を検討する必要があります。
ハラスメントを申告された従業員への対応
ハラスメントの申告を受けた場合、申告された従業員についても適切な手続を踏むことが重要です。
申告されたことだけを理由として、事実確認を行わないまま不利益な処分を行うことは避ける必要があります。
本人からも十分に事情を聴取し、相談者の説明と照らし合わせながら、客観的な資料を含めて事実関係を確認します。
事実が認められた場合には、就業規則や過去の処分事例等を踏まえて適切な処分を検討します。
ハラスメント問題を放置するリスク
ハラスメントの相談を受けたにもかかわらず、会社が適切な調査や対応を行わない場合、問題が長期化する可能性があります。
また、ハラスメントを受けたと主張する従業員が退職したり、会社に対して損害賠償等を請求したりするケースもあります。
会社としては、問題が深刻化してから対応するのではなく、相談を受けた段階で事実関係を整理し、必要な措置を検討することが重要です。
ハラスメント問題で確認しておきたい資料
ハラスメント問題が発生した場合には、次のような資料を確認します。
- 就業規則
- ハラスメント防止規程
- 相談窓口に寄せられた相談内容
- メール・チャット
- 録音データ
- 勤怠記録
- 業務上の資料
- 人事評価資料
- 関係者の供述
- 過去の指導・懲戒処分の記録
- 過去の類似事例
特に、後になって労働審判や訴訟に発展する可能性がある場合には、調査の経緯や会社がどのような判断をしたのかについても記録を残しておくことが重要です。
シエル総合法律事務所の対応
シエル総合法律事務所では、企業・使用者側の立場から、ハラスメントに関する問題について対応しています。
ハラスメント相談への初期対応
従業員からハラスメントの相談を受けた場合に、会社として何を確認し、どのように対応すべきかを検討します。
相談者への聴取方法や、関係者への対応についても事案に応じて助言します。
事実調査・事実認定
当事者双方の説明や客観的な資料を確認し、会社としてどのように事実関係を整理すべきかを検討します。
必要に応じて、関係者へのヒアリングや資料の確認を行い、ハラスメントに該当するかどうかを法的な観点から検討します。
懲戒処分の検討
ハラスメントが認められた場合には、就業規則や過去の処分例等を踏まえて、懲戒処分の必要性や相当性を検討します。
再発防止策の検討
個別の問題への対応だけでなく、同様の問題を繰り返さないための社内体制や職場環境についても検討します。
労働審判・訴訟への対応
ハラスメントをめぐって従業員から損害賠償等を請求された場合や、会社の対応について争いが生じた場合には、交渉から労働審判・訴訟まで企業側の立場から対応します。
関連する労務問題
ハラスメントについて弁護士に相談する
「従業員からパワハラの相談を受けた」
「セクハラの申告があった」
「ハラスメントの事実調査をどのように行えばよいか分からない」
「ハラスメントを行った従業員を処分したい」
「ハラスメントの申告内容が事実か判断できない」
「従業員から会社の対応について損害賠償を請求された」
このような場合には、早い段階で弁護士にご相談ください。
シエル総合法律事務所では、企業・使用者側の立場から、ハラスメント問題について、初期対応、事実調査、懲戒処分、再発防止、従業員との交渉、労働審判・訴訟まで対応します。

