企業の労務管理では、従業員が安心して働ける環境を整えるとともに、労働時間や賃金に関する法令を踏まえて適切な制度を設計・運用することが重要です。
労働時間や賃金の制度に問題があると、個々の従業員とのトラブルにとどまらず、同じ制度を利用する従業員全体に問題が波及することがあります。
シエル総合法律事務所では、企業・使用者側の立場から、労働時間・賃金制度の設計や見直し、就業規則・賃金規程の整備、制度運用上の問題について、法的な観点から対応します。
労働時間制度で検討すべき事項
企業の労働時間制度には、通常の労働時間制だけでなく、業務内容や勤務形態に応じた様々な制度があります。
労働時間の管理
会社には、従業員の労働時間を適切に把握・管理することが求められます。
始業・終業時刻、休憩時間、時間外労働、休日労働、深夜労働などについて、実際の勤務状況を把握できる仕組みを整えることが重要です。
勤怠管理システムを導入していても、実際の勤務実態と記録が一致していなければ問題となる可能性があります。
制度だけでなく、現場でどのように運用されているのかを確認することが重要です。
変形労働時間制
業務の繁閑に応じて労働時間を調整する必要がある企業では、変形労働時間制の導入を検討することがあります。
ただし、変形労働時間制を採用する場合には、制度の種類に応じた法定の要件を満たす必要があります。
就業規則や労使協定、勤務予定の設定方法、実際の勤怠管理などを確認し、制度が適切に運用されているかを確認することが重要です。
フレックスタイム制
フレックスタイム制では、一定の期間について総労働時間を定め、その範囲内で従業員が始業・終業時刻を調整する制度です。
導入する場合には、就業規則等の整備や労使協定の内容、清算期間、実際の勤務時間の管理方法などを確認する必要があります。
時間外労働・休日労働
時間外労働や休日労働を行わせる場合には、労働基準法上のルールを踏まえて制度を整備する必要があります。
また、会社が残業を命じる場合の申請・承認手続を設けるだけでなく、実際に従業員がどのように勤務しているのかを把握することも重要です。
残業代の問題については、別ページの「残業代・未払い賃金」でも詳しく取り扱っています。
休憩・休日・休暇制度
労働時間だけでなく、休憩、休日、年次有給休暇等についても、適切な制度設計と運用が必要です。
例えば、
- 休憩時間の取得状況
- 法定休日と所定休日の区別
- 年次有給休暇の取得
- 年5日の年次有給休暇取得義務への対応
- 時間単位年休の導入
- 育児・介護に関する休暇・休業
- 特別休暇
などについて、会社の制度と実際の運用を確認することが重要です。
賃金制度の設計
賃金制度は、会社の人事制度と密接に関係しています。
基本給、役職手当、職務手当、資格手当、家族手当、住宅手当、通勤手当など、様々な賃金項目について、それぞれの支給目的や条件を明確にしておくことが重要です。
また、賃金制度を変更する場合には、従業員にとって不利益な変更となる可能性があるかを検討する必要があります。
特に、基本給の減額や手当の廃止・減額などを行う場合には、変更の必要性や制度変更の内容、従業員への説明などを踏まえて慎重に検討する必要があります。
固定残業代制度
固定残業代制度を導入している場合には、通常の賃金と固定残業代の関係を明確にするとともに、実際の時間外労働等に対する割増賃金が適切に支払われているかを確認する必要があります。
雇用契約書、就業規則、給与規程、給与明細等の記載が制度の内容と一致しているかについても確認が必要です。
固定残業代に関する具体的な問題については、「残業代・未払い賃金」のページもご覧ください。
各種手当の見直し
各種手当については、何のために支給している手当なのかを明確にすることが重要です。
例えば、役職手当であれば役職に伴う責任や職務との関係、資格手当であれば資格取得による業務上の必要性など、支給目的を明確にすることで、制度変更時の検討もしやすくなります。
また、正社員と有期契約社員、短時間労働者等との間で待遇差を設けている場合には、その差の内容や理由について確認する必要があります。
同一労働同一賃金への対応
正社員と有期雇用労働者等との間で、基本給や各種手当、賞与、福利厚生等に差を設ける場合には、待遇の性質や目的、職務内容、責任の程度等を踏まえて検討する必要があります。
「正社員だから」「契約社員だから」という雇用形態だけで待遇差を設けるのではなく、それぞれの待遇について合理的な説明ができる制度になっているかを確認することが重要です。
賃金制度を変更する場合
会社の事業内容や人事制度の変更に伴い、賃金制度を見直すことがあります。
例えば、
- 基本給の体系変更
- 等級制度の変更
- 役職手当の見直し
- 固定残業代制度の導入・変更
- 手当の廃止・統合
- 評価制度と賃金の連動
- 定年後再雇用者の賃金制度の変更
などが考えられます。
このような制度変更では、従業員にとって不利益な変更となる可能性があるため、変更の内容や必要性、就業規則等の変更方法、従業員への説明などを踏まえて検討する必要があります。
労働時間・賃金制度の見直しで確認する資料
制度を新しく導入したり、既存制度を見直したりする場合には、次のような資料を確認します。
- 就業規則
- 賃金規程
- 育児・介護休業規程
- 雇用契約書
- 労働条件通知書
- 勤怠管理資料
- 給与台帳
- 人事評価制度
- 賃金テーブル
- 労使協定
- 労働時間に関する社内ルール
- 現場での実際の運用
特に、規程上の制度と実際の運用が一致しているかを確認することが重要です。
制度を作るだけでなく、運用まで確認することが重要です
労働時間・賃金制度については、就業規則や賃金規程を整備しただけでは十分ではありません。
例えば、会社では「残業は事前申請制」と定めていても、実際には申請せずに残業することが常態化している場合があります。
また、固定残業代制度を導入していても、給与計算や勤怠管理の方法が制度と一致していないケースがあります。
このような場合には、規程そのものだけでなく、実際の運用を確認した上で制度を見直す必要があります。
シエル総合法律事務所の対応
シエル総合法律事務所では、企業・使用者側の立場から、労働時間・賃金制度に関する様々な問題に対応しています。
労働時間制度の設計・見直し
現在の勤務実態を確認した上で、労働時間管理、変形労働時間制、フレックスタイム制等について、会社の業務に適した制度を検討します。
賃金制度の見直し
基本給、各種手当、固定残業代等について、制度の内容や支給目的を確認し、就業規則・賃金規程等との整合性を確認します。
就業規則・社内規程の整備
労働時間や賃金制度の変更に合わせて、就業規則や社内規程の見直しが必要となる場合には、規程の内容についても検討します。
制度変更に伴う従業員対応
賃金制度等を変更する場合には、従業員への説明や同意取得が問題となることがあります。
制度変更の内容を確認し、会社として必要となる対応について助言します。
紛争化した場合の対応
労働時間や賃金制度について従業員との間で紛争が生じた場合には、会社側の立場から交渉、労働審判・訴訟等に対応します。
関連する労務問題
・問題社員・懲戒処分
・解雇・雇止め
・残業代・未払い賃金
・ハラスメント
・定年後再雇用
・就業規則・社内規程
・労働審判・訴訟
労働時間・賃金制度について弁護士に相談する
「労働時間の管理方法を見直したい」
「変形労働時間制を導入したい」
「固定残業代制度を見直したい」
「賃金体系を変更したい」
「手当を廃止・変更したい」
「同一労働同一賃金への対応を確認したい」
「就業規則や賃金規程を見直したい」
「制度変更によって従業員とのトラブルが発生している」
このような場合には、制度を変更する前の段階から弁護士にご相談ください。
シエル総合法律事務所では、企業・使用者側の立場から、労働時間・賃金制度について、制度設計・見直しから従業員との交渉、紛争対応までサポートします。

